即席ビニールレインコートと兄弟犬。
近所の河川敷に捨てられていた2匹の子犬を拾ってきて1匹ずつ近所の知り合いと分け合って里親になりました。毎日、お互いに散歩する際には、恐らく兄弟であったであろう2匹の子犬は顔を合わせてお互いに無事を確認しておりました。ある雨の日、散歩に出かけようとする際、半分遊びで家内がビニール袋を急遽改造した、犬用レインコートを作って着せることにしました。何となく嬉しそうに見える子犬の様子をみていると、まんざらでもない感じで嫌がることもなく、着せられるままに即席レインコートを着用して散歩に出発しました。
何時ものように、兄弟犬の家を通りかかると、不思議なことに「今日は良いだろう。レインコートだぜ。」と言わんばかりに、如何にも得意げに見せびらかすような仕草をして見せたのです。可笑しくて大笑いしたことをよく記憶しています。もう、何十年も前のことですので、今のようにペットショップに行くとカラフルで可愛い犬用の衣装が沢山あるわけでもなく、ましてや洒落たレインコートなど販売してもいない時代です。
帰宅して、そのことを家内に告げると、もう1匹の兄弟子犬にもと、大慌てで即席ビニールレインコートを作って持って行って着せてあげていました。その後、雨の降る散歩の際には、成長してサイズが合わなくなるまで、お互いにそのレインコートを着続けてくれました。本当に犬自身が、得意げに思っていたかは定かではありませんが、きっと何か気分的に高揚するような喜びを感じ取ってはいたのだと思います。
たまにしか連れ行って上げれれませんでしたが、ペット専門のトリマーに行って、全身シャンプーして、毛並みを手入れして帰宅すると、何となく誇らしげに良い香りをさせて、これ見よがしに近づいてくる姿を見ると、犬もおしゃれをある程度理解しているのではと勘ぐってしまいます。最近の煌びやかでブランドネームの入った高価なペット用おしゃれ着を見るたびに、即席のビニールレインコートに身を包んだ得意げな我が家の犬のことを思い出します。